戦評:本田 康平
こんにちは。お盆休みにはインドでバックパッカーをしてきました。2年電気電子工学
科の本田康平です。インドの話が聞きたい方は声をかけてください。
さて、本試合は合宿最終日の最終戦。1試合目は完敗を喫し、2試合目は負けられない
ぞと意気込む名工ナイン。その大事な先発を任されたのは“名工の渡邊俊介”ことサブマリ
ナー水谷琢磨。身長約160センチの小さな体から切れの良い球を繰り出します。ここ最
近の安定感は抜群です。
試合序盤は相手のペースで進んでいく。先発の水谷は初回にツーランを浴び、さらに
3、4回ともにフォアボール、エラー、ヒットで失点を重ね5回1死1塁で無念の降板。
本人曰く、「スライダーがイマイチだった」とのこと。一年生捕手の大澤もともに交代。
バッテリーともに課題が見つかったであろう。
打線の方も相手の層の厚い投手陣の前に5回まで散発4安打に抑え込まれる。何とか流
れを変えたい名工大は中継ぎに本田を投入。本田は合宿1日目に自動車事故を起こし、失
意の中、2日目の対大阪経済大戦では抑えとして登場し、炎上。「こいつで大丈夫なのか
?」とベンチでは不穏な空気が流れる中、本人も「今日打ち込まれたら愛知に帰れない
。」とビビリつつ登板。
結果として、投手起用は功を奏し、本田は2回2/3を無安打無失点に抑える。
そして5対1で迎えた勝負の8回、9回。名工大打線が爆発。最近頭角を見せつつある1年
上野のタイムリーや、“渋い”1年青木の技ありいぶし銀タイムリーなどで9回表終了時に5
対5と同点に。
大事な9回裏のマウンドには渋い1年青木。投打に大活躍。しかし安打と死球で満塁と
なり、犠牲フライを打たれ、ゲームセット。サヨナラ負け。
B戦は成長の場。自らの技術について考え、悩み、仮説を立てて、それを実践する場で
す。出場選手はただぼんやりとグラウンドに立ち、プレーするだけでは成長はありません
。常に問題意識を持って、一球一球を無駄にしないようにしていきましょう!
<おまけ>
「ビリー・ビーンが用いた野球理論」
前回の僕の戦評(3月26日 対名市大戦)でも予告していた通り、今回はビリー・ビー
ンという方の野球理論を紹介します。ビリーは、MLBオークランド・アスレチックスの
GMを務め、革新的な経営でMLB界に新しい風を吹かせました。マネーボールという映画
でご存知の方も多いかと。
当時、MLB界は選手の年棒高騰により、財力のある球団が良い選手を独占しており、そ
の結果、順位も財力のある球団が上位を占めていました。(日本でも同じような状況)そ
んな中、アスレチックスは選手への総年棒支払い額は全球団中ワースト2位にもかかわら
ず、毎年上位に食い込んでいました。つまり、アスレチックスはMLBの中でも“異質な“強
さでした。
なぜ、貧乏球団アスレチックスは強いのか?
ビリーは閉鎖的でプライドの高いMLB界で初めて、野球に科学的見地を取り入れ、従来
の経験則的なスカウティングや“常識”を破壊していきました。
ビリーが取り入れた野球理論は「セイバーメトリクス」というもので、ビル・ジェイム
スという熱狂的な野球ファンが打ち立てたものでした。セイバーメトリクスとは膨大な過
去のプレーデータの統計処理を行い、その数字で選手や戦略を評価するものです。
具体的には、野球は失点よりも得点のほうが上回ればいいスポーツなので、勝利に貢献
する選手とは、打者ならばよりチームに得点をもたらす選手です。
統計データからチームの得点数と最も密接な関係にある数字を調べていくと、打率や本
塁打数などではなく、“出塁率と長打率”でした。
・出塁率=(安打+四死球)÷(打数+四死球+犠飛)
・長打率=(単打×1+二塁打×2+三塁打×3+本塁打×4)÷打数
そして近年注目を集めているOPS(=出塁率+長打率)の誕生です。科学的にはOPSの
高い選手を並べるとより高得点が期待できるということです。
セイバーメトリクスはこのようにして、OPSなどの新しい選手評価数字を開発していき
ました。従来、打率や打点や本塁打数やエラー数などで選手は評価されてきましたが、実
はそれらは大昔、野球がまだクリケットの名残を持っているときに作られたものらしく、
今の野球とは全くあっていないみたいです。確かに、打点やエラー数はランナーの位置や
グラウンド状況などの偶然の要素に大きく作用されます。
ビリー・ビーンはマイナーでくすぶっていた、OPSは高いが他の数字には欠陥あり、と
いう選手を格安で買い取っていき、花開かせていきます。そして強いアスレチックスに生
まれ変わっていきます。ビリーの詳細が知りたい方は小説「マネーボール」を読んでみて
ください。
さて、名工のここ数試合でチーム全体のOPSと得点の関係を調べてみると、
・8/24-1 ops:0.61 得点:4
・8/24-2 ops:0.62 得点:4
・8/26-1 ops:0.44 得点:2
・8/26-2 ops:0.70 得点:5
・8/28 ops:0.45 得点:4
・9/3 ops:0.38 得点:1
・9/4 ops:0.66 得点:10
うん。興味深い。一部例外はありますがopsと得点は比例しているし、OPSから得点数
も推測できそうです。MLBと大学野球で異なる点もかなり多く、セイバーメトリクスが有
効かは微妙なところですが、統計学的には我々が目指す最強の打者の形は、自分の好きな
コースのみを強振し長打を狙い、来なければ見送り、カットなどで四球を狙っていく、と
いう打者ということになります。(ちなみに広島カープの鈴木誠也選手のOPSは1を超え
ており、ダントツで高い。)
今回はセイバーメトリクスの導入のような形になりましたが、次回はさらにセイバーメ
トリクスを掘り下げていきたいと思います。ご期待ください。
本田