戦評:中村 義輝
8月恒例の夏合宿。今年は大阪を拠点に4日間、計4試合を行う。その初戦、大阪経済法科大学との一戦は、辛くも引き分けに終わった。負けはしなかったが、勝ち切ることができなかった。そんなもどかしさが残ったまま迎えた第二戦。下級生中心のフレッシュなメンバーで試合に臨んだ。
試合開始13:00
◎1回表 0‐0
名工大の先発は、2年・吉田。ヒットと盗塁で2死2塁のピンチを招くも、相手の4番打者を三振に切り、初回を0点に抑える。
◎1回ウラ 0‐0
後攻の名工大は、四球やヒットなどで2死2.3塁と先制点のチャンスをつかむが、得点ならず。
◎4回表 0‐0
ここまで好投を続けてきた吉田であったが、この回の先頭打者にヒットを許した後、盗塁、捕逸とわずか2球で無死3塁のピンチを迎える。ここで相手の4番打者に3球目をセンターまで運ばれ、犠牲フライにより1点を失う。その後、2つの四球で2死1.3塁とするが、ここは後続を打ち取り、最少失点で切り抜ける。
◎4回ウラ 0-1
先制点を奪われた直後の回、先頭の5番田尻がセンター前にヒットを放ち出塁。6番柴田が送りバントの後、7番豊森にもヒットが生まれ、1死1.3塁のチャンスを作る。続く8番大澤の三ゴロの間に1人が還り、同点に追いつく。
◎7回表 1-1
先頭打者にヒットで出塁を許すも、続く打者を併殺に打ち取り、この回も難なく0点に抑える。吉田はこの回で降板。99球、7回1失点の好投を見せた。
◎7回ウラ 1-1
好投の吉田に勝ち星をつけるためにも、どうしても1点が欲しいこの回。1死から、途中出場の9番住吉がセンター前ヒットで出塁すると、1番水谷大が死球を受け、1死1.2塁のチャンスを迎える。続く2番青木が片手で捉えた打球は、三塁手の頭上をわずかに越える技ありのタイムリーヒット。住吉が2塁から快足を飛ばし、見事勝ち越し点を奪う。
◎8回表 2-1
2番手として、2年・水谷琢が登板。味方のエラーで出塁を許すも、危なげなく後続を打ち取り、セットアッパーの役割を果たす。
◎8回ウラ 2-1
先頭の代打・井田が死球で出塁。その後、8番大澤もヒットで続き、2死1.2塁のチャンス。1番水谷大がライト前に運び、貴重な追加点を挙げる。
◎9回表 3-1
抑えとしてマウンドに上がったのは、2年・本田。盤石な投手リレーかと思われたが、
いきなりの連続四死球で無死1.2塁のピンチを招く。その後二死までこぎつけるも、相手の2番、3番に連続タイムリーを浴び、同点とされてしまう。
◎9回ウラ 3-3
最終回の攻撃。1死から、途中出場の4番亀山がセンター前ヒットで出塁。その後、2死1塁となって迎えるは、いぶし銀、6番井田。2球であっさり追い込まれ、2戦連続の引き分けムードが漂い始めた3球目。わずかに投球が逸れたのを見て、1塁走者の亀山が2塁を陥れる。一打サヨナラの場面、一転して緊張感と期待感に包まれる。そして迎えたフルカウントからの6球目。勝利を託された男、4年・井田が放った打球は前進守備のセンターの前に落ちるサヨナラタイムリーヒット。2塁から亀山が生還し、見事勝利をものにした。
この試合、自分はベンチから見ていたが、この2試合目のフレッシュなメンバーに、1試合目のいわゆるレギュラーメンバーにはないものを感じた。それは、積極性と泥臭さだ。ほとんど試合経験のない1年生の豊森や大澤が果敢に初球からくらいついてヒットを打ち、同じく1年生の青木や4年生の井田は詰まりながらも最後までバットを振り切ってタイムリーを放った。ここ最近、1試合目でなかなか勝ちがついていない。その焦りから、自然とメンバーに力みが生じているように感じる。この2試合目のように、何も恐れることなく、チャレンジャー精神を持って、よりアグレッシブなプレーを見せていく必要があるのではないか。そういったプレーができる選手がまだまだこのチームには足りていないのではないだろうか。いい意味で型にはまらず、自分の持てる力をすべて表現する。そんな選手がチームを逆境から救うのだと僕は考える。そう、今日のヒーローとなった男、井田寛人のように。